会行事

日本山岳会青森支部 創立30周年記念行事に参加して

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令和5年7月1日(土)~4日(火)
日本山岳会青森支部創立30周年記念行事に参加して
13643 関口 興洋

2023年7月1日、九州地方が大雨の影響を受けている中、福岡空港から仙台空港行きの直行便が無事飛び立つことが出来るのか心配しながら、小倉から早朝の山陽新幹線で博多に向かった。仙台行き直行便が予定通り出発したので一安心。仙台から東北新幹線に乗り継ぎ会場の八戸プラザホテルに着いたのは、記念式典が始まる寸前であった。
(第一部)青森支部創立30周年記念の関連行事
記念式典の参加者名簿を見ると、本部から橋本会長、古野前会長、神﨑元副会長、重廣元副会長ほか総勢130余名の名前が列挙されており、誠に壮観である。橋本会長のお祝辞、須々田青森支部長のご挨拶など記念式典の行事が予定通り終了し、引き続き特別講演が行われた。演題は「八戸の風土と歴史」、講師は八戸縄文保存協会の古舘光治会長。青森県の津軽地方と八戸地方との気風の違いなど初めて聞く興味深い内容でした。
休憩時間を挟んで18:30からプラザホールで記念祝賀会が開催された。18テーブルに分散した各自の指定席を探しながら着席。主催者、来賓の挨拶が終わり乾杯の音頭と共に参加者の熱気で一気に盛り上がり、旧交を温める輪があちこちにできる。他支部から差し入れの祝い酒も振舞われ賑やかな祝賀会となった。
7月2日 晴
記念行事は<Aコース> 階上岳(ハシカミダケ)山行と<Bコース>蕪島・種差海岸トレツキングコースの二通り。
原さん、井上さんはAコース、関口はBコースを選択。目的地に向かう前に朝食を八戸港の朝市で摂る。6時半ごろ着いたが、既に屋台は先客で大賑わい。魚介類が中心であるが、先ず目を付けたのが、夏でも食べられる岩ガキの蒸篭蒸し。大型の牡蠣を4コ注文し酢醤油で味わう。蒸し牡蠣は初めて食べたが、なかなか美味しい。次は青森名物のリンゴを包んだ春巻きを初めて食べたが、これまた実にうまい。
朝食後、朝市の会場からホテルのバスで各コースへ移動。以下Bコースの概要を報告する。
最初の訪問地は蕪島神社。ここはウミネコの繁殖地として有名であるが、その数の多さと賑やかな鳴き声にビックリ。上空を飛んでいるウミネコの糞を浴びるのではないかと内心、冷や冷や。早々に切り上げ、「みちのく潮風トレイル」のトレッキングを開始。正式名称は東北太平洋岸自然歩道、全長1,025㌖、八戸市から福島県相馬市まで。ロングトレイルとしては日本最長。環境省をはじめ、関係自治体、民間団体、地域住民の協働により、段階的に開通を重ねながら、2019年(令和元年)6月9日に全線開通した。
出だしは海岸際を歩くが、徐々に高度を上げ断崖を見下ろす道となり、眼下の岩礁地帯では小舟をベースにして潜りの漁をする様子が眺められる。獲物はウニとかアワビであろうか? 南下するにつれ、花の群れが現れてくる。特にノハナショウブの群落が見事である。
途中の休憩ポイントからトレイルをはずれ車道に出ると東山魁夷の記念碑がある。彼の出世作品である有名な「道」のモチーフとなった場所である。
休憩ポイントで青森支部の事務局長をされている中村 仁さんの車に3人乗せてもらい種差海岸まで送ってもらう。天然芝におおわれている美しい海岸で三陸復興国立公園に指定されている。三陸復興国立公園は、東日本大震災により被災した三陸地域の復興に貢献するために2013年(平成25年)5月に創設された新しい国立公園である。
中村さんの案内でビジターセンターを訪れスタッフから館内の展示物の説明を受ける。
車先行組の堀井 弘さん(秋田支部顧問)と気持ちの良い芝生の上に座り込み、三陸名物の雲丹飯弁当を開く。油断しているとウミネコの標的になるので要注意。昼食後、迎えのバスでプラザホテルに向かい、ここでAコースの参加者と合流し解散となる。
(第二部)
A班の二人と合流し、大久保 勉さん(元青森支部長)がリーダーとして引率する下北探勝会に参加。探勝会でチャーターしたマイクロバスで下北半島巡りに出発。
次の目的地は寒立馬のいる尻屋崎。津軽半島方面は数回、訪れたことがあるが下北半島は初めてなのでワクワクした気分になる。斧の取っ手の部分に当たる大湊線沿いに陸奥湾を左手にかいまみながら北上。ゲートの手前でガイドの方と合流し、17時の閉門時刻を気にしながら太平洋に突き出た尻屋崎へ到着。立派な灯台が設置されているが今日は時間がないので見学はできない。それでも太平洋に面する本州北端の僻地に立つと、学生時代、北海道の襟裳岬を初めて訪れた時(昭和33年夏)以来の感慨に浸る。
ゲートをぎりぎりに通過し、観光用に放牧されている寒立馬の一群を遠くから眺めながらガイドの説明に聞き入る。以前は柵など無く自由に馬に近づけたが、心無い観光客の振舞いで事故が発生したため、柵を設け馬に近付けないようにしたとのこと。
今日の宿は大湊駅の側にあるフォルクローロ大湊。チェックインした後、夕食の会場である隣の「京華」へ移動。下北探勝会参加者の全員が揃い顔合わせを行う。
7月3日 曇天 
今日は下北半島の核心部である恐山を巡る。健脚組とポレポレ組に分かれての行動となる。北九州支部の3人はポレポレ組に入って行動した。健脚組を見送った後、釜臥山展望台駐車場に着く。この頃から、雨模様となる。整備されたなだらかなコンクリートの階段を上ると途中に開拓者の顕彰碑がある。私はここで引き返したが、原さんと井上さんはレーダー・ドームのある一等三角点、釜臥山(878㍍)山頂に到る。雨がひどくなったので山頂でゆっくりもできず、早々に下山した由。恐山の駐車場に着くと雨も上がり、大久保さんから境内の説明を受け、健脚組が戻るまで自由行動となった。お寺の境内入域料金500円を払い山門をくぐると、直ぐ近くに無料の男女別温泉入浴棟がある。境内と言っても火山ガスの発生地帯であるため、樹木の生育も限られ、荒れた土地が宇曽利山湖まで続いている。周回路のところどころに慰霊碑やお地蔵さんが安置されている。一部は写真などで観た光景であるが、現地で観ると環境、地形、地質、植物相などすべてにわたり
異質な世界である。まさに「百聞は一見に如かず」
午後になると宇曽利山湖の彼方に聳える大尽山を覆っていたガスが時々切れて山容がわずかに望まれる。広い境内を散策したあと、温泉棟に立ち寄り湯舟を独占し疲れを癒す。お寺の境内で源泉かけ流しの温泉に入れるなんて別世界である。
今宵の宿は津軽海峡に面した下風呂温泉の鄙びた旅館であるが地元の魚介料理を堪能した。
7月4日 快晴
今日の最初の目的地は仏ケ浦。当初の計画は陸上からの往復であったが、お天気がよく穏やかな海なので佐井から観光船で津軽海峡の海上ルートを往復することになった。仏ケ浦の桟橋で下船し、海蝕奇岩のそそり立つ景観をゆっくりと見物でき幸運であった。
佐井に戻り次の目的地、半島北端の大間に向かう。お天気に恵まれ、対岸の函館~恵山が一望できた。大間は本マグロの水揚げ港として有名になったが、最後の仕上げはマグロ丼を味わうこと。予約者11人でサンホテル大間に向かう。
お値段に値する内容に満足し東北新幹線八戸駅へ直行。ここで下北探勝会に参加した皆さんとお別れし仙台に向かった。仙台で一泊し翌日、槇 有恒が仙台二中時代に親しんだ泉ケ岳(1172㍍)に登るためである。
7月5日 曇り 
泉ケ岳は仙台市の北西約20㌖、奥羽山脈の船形山(1,500㍍)から南東に続く一峰である。仙台市営地下鉄の南北線終点の泉中央駅で下車。乗り継ぎバスの便が悪いので登山口の泉岳自然ふれあい館までタクシーを利用。コースタイム約2時間の水神コース経由の登山道に入る。なだらかな道を辿ると1時間で水神の碑に至る。到着したのが11時。頂上まであと1時間。しかし、頂上まで登り往復すると仙台空港発16:40の福岡行き直行便に間に合わないリスクが発生する。残念だが登頂は中止し直ちに引き返すこととなった。余談ですが、往復ともタクシーの運転手と会話したが、槇 有恒さんが仙台の名誉市民で文化功労章を受章されたことも全く知らなかった。中年の方でしたが、仙台市民でも槇さんの功績が継承されていないのかと寂しい気持ちで福岡へ戻った。

参加者3人:原広美 井上禮子 関口興洋

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